AIの情報漏洩対策は、中小企業がChatGPTなどの生成AIを仕事で使ううえで、とても大切なテーマです。
ChatGPTなどの生成AIは、中小企業にとってとても便利な道具です。
メール返信。
ブログ記事の下書き。
営業資料の文章作成。
SNS投稿。
議事録の整理。
社内マニュアル作成。
これまで時間がかかっていた仕事を、AIでかなり楽にできるようになりました。
一方で、AIを仕事で使うときには注意も必要です。
「お客様の情報を入力しても大丈夫なのか」
「見積書や契約内容をAIに入れてよいのか」
「社員が勝手に使って情報漏洩しないか」
「AIが作った文章をそのまま使ってよいのか」
「会社としてルールを決めたほうがよいのか」
このような不安を持つ経営者の方も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、中小企業でもAIは十分に活用できます。
ただし、何でも入力してよいわけではありません。
AIを安全に使うためには、難しい規程を最初から作るより、まずは社内で守るべき基本ルールを決めることが大切です。
この記事では、中小企業がAIを使うときに注意したい情報漏洩のリスクと、最初に決めておきたい社内ルールについてわかりやすく解説します。
AI活用でまず注意したいのは「何を入力するか」
AIを使うときに一番注意したいのは、入力する情報です。
AIは、こちらが入力した内容をもとに文章を作ったり、整理したり、提案したりします。
つまり、便利に使おうとするほど、会社の情報やお客様の情報を入れたくなります。
たとえば、
お客様からの問い合わせ文。
見積書の内容。
契約前の相談内容。
社内会議の議事録。
社員情報。
取引先とのやり取り。
売上や原価に関する資料。
これらをそのままAIに入力してしまうと、情報管理上のリスクが出る場合があります。
特に、中小企業では「社員が各自の判断でAIを使っている」という状態になりやすいです。
社長は注意して使っている。
でも、社員は何を入れてよいかわからない。
便利だからと、お客様名や住所をそのまま入れてしまう。
見積書の中身を丸ごと貼り付けてしまう。
このようなことが起きる前に、会社として最低限のルールを決めておく必要があります。
AIに入力しないほうがよい情報
まず、AIに入力しないほうがよい情報を整理します。
基本的には、次のような情報はそのまま入力しないほうが安全です。
お客様の氏名。
住所。
電話番号。
メールアドレス。
会社名。
担当者名。
契約金額。
見積金額の詳細。
未公開の事業計画。
社内の人事情報。
取引先との機密情報。
トラブルやクレームの具体的な個人情報。
これらは、AIに入れなくても文章作成や整理はできます。
たとえば、お客様名を入れる代わりに、
「A様」
「東京都内の個人のお客様」
「リフォームを検討しているお客様」
「既存取引先」
「新規問い合わせのお客様」
のように置き換えれば十分です。
住所も、具体的な番地まで入れる必要はありません。
「東京都内」
「大田区周辺」
「マンションの一室」
「築20年程度の戸建て」
という程度で、AIは文章を作れます。
大切なのは、AIに必要以上の情報を入れないことです。
AIに入力してもよい情報の考え方
では、AIには何を入力してよいのでしょうか。
安全に使うためには、個人や取引先が特定されない情報を使うことです。
たとえば、
文章の目的。
読者の立場。
業種。
悩みの内容。
説明したいテーマ。
文章の雰囲気。
自社の一般的なサービス内容。
よくある質問。
一般的な業務の流れ。
こうした情報は、AIに入力しやすい内容です。
たとえば、問い合わせ返信を作る場合は、次のように入力できます。
「外壁塗装について問い合わせをくれた個人のお客様に、現地調査の日程調整をお願いする返信文を作ってください。丁寧で、押しつけがましくない表現にしてください。」
この指示なら、お客様の氏名や住所を入れなくても返信文を作れます。
ブログ記事を書く場合も同じです。
「中小企業の経営者に向けて、ChatGPTを安全に使うための社内ルールについて、初心者にもわかるように説明してください。」
このように、目的と読者を伝えれば、個別情報を入れなくても文章は作れます。
AI活用では、情報を全部入れるのではなく、必要な形に置き換えて入力することが大切です。
社内ルールがないと、社員は使いにくい
AIの利用ルールがない会社では、社員の使い方に差が出ます。
積極的な人はどんどん使う。
慎重な人は怖くて使わない。
何を入れてよいかわからない。
AIの文章をそのまま使ってよいのかわからない。
問題が起きたときに誰が責任を持つのかわからない。
この状態では、AIは社内に定着しにくくなります。
AIを安全に広げるには、社員が安心して使えるルールが必要です。
ただし、最初から難しい規程を作る必要はありません。
中小企業なら、まずはA4一枚程度の簡単なルールで十分です。
たとえば、
個人情報は入力しない。
会社名やお客様名は仮名にする。
契約内容や機密情報は入力しない。
AIの文章は必ず人が確認する。
社外に出す文章は責任者が確認する。
使ってよい業務を決める。
困ったときは担当者に確認する。
このくらいから始めれば、かなり安全に使いやすくなります。
ChatGPTを社内で使われる道具にする考え方については、「ChatGPTを入れたのに社内で使われない会社に足りないもの」でも解説しています。
中小企業がまず決めたいAI社内ルール
中小企業がAIを使うときに、最初に決めたいルールは5つあります。
1つ目は、入力してはいけない情報です。
個人情報、機密情報、契約情報、未公開情報などは、そのまま入力しないと決めます。
2つ目は、入力するときの置き換え方法です。
お客様名は「A様」。
会社名は「取引先A」。
住所は「東京都内」。
金額は「おおよその金額」や「具体額を伏せる」。
このように、社内で置き換え方を決めておくと使いやすくなります。
3つ目は、使ってよい業務です。
最初は、メール下書き、ブログ構成、SNS投稿、議事録整理、社内マニュアルの下書きなど、比較的リスクの低い業務から始めるのがよいです。
4つ目は、確認する人です。
AIが作った文章をそのまま社外に出すのは危険です。
社外向けの文章は、必ず責任者や担当者が確認する流れにします。
5つ目は、禁止する使い方です。
お客様情報を丸ごと貼り付ける。
契約書や見積書をそのまま入れる。
AIが作った内容を確認せずに送る。
専門判断が必要な内容をAIだけで決める。
こうした使い方は禁止しておくと安心です。
AIが作った文章をそのまま使わない
AI活用でよくある失敗が、AIの文章をそのまま使ってしまうことです。
AIの文章は、一見きれいに見えます。
しかし、必ずしも正しいとは限りません。
事実と違うことが含まれることがあります。
会社の方針と合わない表現になることがあります。
言いすぎた表現になることがあります。
専門的な内容で誤解を招く場合があります。
たとえば、
「必ず改善します」
「絶対に安全です」
「すぐに効果が出ます」
「どんな場合でも対応できます」
このような表現は注意が必要です。
建設、医療、法律、税務、金融など、専門性が高い分野では特に慎重に確認する必要があります。
AIは、文章のたたき台を作る道具です。
最終判断をするのは人です。
社外に出す文章は、必ず人が確認する。
これは、AI活用の基本ルールにしたほうがよいです。
AIを営業文章や問い合わせ返信に使う方法については、「営業が苦手な会社ほどAIを使ったほうがいい理由」でも解説しています。
情報漏洩を防ぐための実務上の工夫
情報漏洩を防ぐために、日常業務でできる工夫があります。
まず、AIに入れる前に情報を伏せることです。
お客様名、住所、電話番号、メールアドレス、会社名などは削除します。
次に、具体的すぎる情報を一般化します。
「〇〇ビル5階の雨漏り」ではなく、
「テナントビルの雨漏り相談」
「〇〇株式会社との契約書」ではなく、
「取引先との業務委託契約」
このように置き換えます。
また、社員向けに「入力してよい例」と「入力してはいけない例」を用意しておくと便利です。
ルールだけを渡しても、実際には迷うことがあります。
そのため、
この入力はOK。
この入力はNG。
この場合は名前を伏せる。
この場合は社長に確認する。
という例を作ると、社内で使いやすくなります。
AI活用では、禁止するだけではなく、安全に使う方法を示すことが大切です。
社員にAIを使ってもらう前に説明したいこと
AIを社内で使ってもらう前に、社員には次のことを説明しておくとよいです。
AIは便利だが、何でも入力してよいわけではない。
AIの答えは必ず正しいとは限らない。
社外に出す文章は人が確認する。
個人情報や機密情報は入力しない。
困ったときは自己判断せず確認する。
AIは仕事を奪うものではなく、下書きや整理を助ける道具である。
ここを説明しておくと、社員の不安が減ります。
特に大切なのは、「AIを使うこと自体が危険」ではなく、「使い方を決めずに使うことが危険」という考え方です。
AIは正しく使えば、中小企業の仕事を助けてくれる道具です。
そのためには、使い方の土台を整える必要があります。
AI社内ルールは一度作って終わりではない
AIの使い方は、今後も変わっていきます。
新しいサービスが出る。
社員の使い方が増える。
業務の中で便利な使い方が見つかる。
逆に、危ない使い方も出てくる。
そのため、AIの社内ルールは一度作って終わりではありません。
最初は簡単なルールで始めて、使いながら見直していくことが大切です。
たとえば、月に一度、
どんな使い方をしたか。
便利だった使い方は何か。
困ったことはあったか。
入力してよいか迷った情報はあったか。
新しくルールに加えることはあるか。
これを確認するだけでも、社内でのAI活用は安全に進めやすくなります。
AI活用は、導入して終わりではありません。
会社の仕事に合わせて、少しずつ整えていくものです。
まとめ:AIを安全に使うには、最初のルール作りが大切

中小企業がAIを使うときに大切なのは、便利さだけを見ることではありません。
何を入力してよいのか。
何を入力してはいけないのか。
AIの文章をどう確認するのか。
社外に出す前に誰が見るのか。
社員が迷ったときにどうするのか。
ここを決めておくことが、安全なAI活用につながります。
AIは、正しく使えば中小企業の大きな味方になります。
メール返信、ブログ作成、営業資料、SNS投稿、議事録整理、社内マニュアルなど、日々の仕事を軽くすることができます。
ただし、情報管理と確認のルールは欠かせません。
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