百石 元 総合演出『 ダイヤのA Ⅱ The Orchestra Ⅱ 』

オリンパスホール八王子に開場時間に着くと既に大勢の入場者がグッズ売り場や等身大パネルの前を埋め尽くしている。その人混みをかき分けどうにか受付を済ませ会場の中へ。地下鉄に乗っているかの様な騒音は入場者の98%を締める女性達のおしゃべりだった。程なく開演を知らせるブザーが鳴るとさっと静寂が訪れる。

主演声優のアナウンスが響きそれに促されるように指揮者が登場すると、場内は万雷の拍手に包まれた。オーケストラとギター、ベース、ドラムス、キーボードのバンドが加わり、その背後には、超特大のモニターがそびえ立っている。

まず最初は、そのモニターから『ダイヤのA Ⅱ』のプロローグが映し出され物語が始まる。ここまでは、各声優の掛け合いと効果音のみだった。そして試合の場面になった、と思った瞬間、指揮者の手元が小さく光った様に見え、オーケストラとバンドが一斉に入って来て驚いた。

試合の場面にマッチするフルオーケストラとバンドサウンド、これは物凄い迫力とスピード感、単なる映像に演奏を付け足した物にあらず。このアニメーション(高校野球)の醍醐味を正に肌で感じた。映像のストーリー性と豪快かつ繊細な演奏に思わず目頭を押さえる観客が数多くいる。

先ほどから指揮者の手元で光っているのは、打ち込みサウンドと同期する為のものだ。勿論映像とリンクさせる為のものでもある。このサウンドの心理描写は物語ありきのものとも言えるが、また物語もこのオーケストレーションが無ければ成立もしない互換関係にあると言えるだろう。

怒涛の内に第一部が終了した。しばらくして、ふと立ち上がりPAブースに目をやると、百石 元!その人だ!思わず手を振り人目も気にせず『どーも!』と叫んでしまった。すると百石先生も気が付いてくれて『どーも!どーも!』と大きな声で答えてもらえた! ん?俺は何をやっているんだ?!この感動的なコンサートの総合演出をされている百石 元先生に気安く、それも大勢の中で叫んでしまった(汗)!そんな俺に気安く返事をくれる先生の優しさ(涙)!

さて第二部が始まると、何と豪華声優陣10名が登場、和やかな笑いに包まれたトークショー。指揮者をイジるという荒業も見せ会場は大爆笑!とここで、声優陣は舞台袖へ。ドラムスの地響きの様なソロと共に再びストーリーの世界へ。するとお馴染みのメインテーマに、ここでも百石ワールド炸裂!随所にオリジナルとは違うアレンジが施されていて物語を盛り上げるのだ。

そして最後の演出は『ダイヤのA 』の旧シリーズの主題歌だ!再び声優陣が登場!来場者全員参加!もちろん総立ちだ!拳を上げ!タオルを回す!俺は熱い青春の金字塔たる作品をこの目で耳で観た!

レポート 中村直樹